卒業生インタビュー

2017.05.11

猪原 雄介さん

◆言語聴覚学科2014年卒(崇徳高校出身)

◆勤務先
地方独立行政法人 広島市立病院機構
広島市立リハビリテーション病院
リハビリテーション科 言語聴覚士

Q1.現在の仕事内容について教えてください。

 リハビリテーションが必要になる原因は病気や事故など様々ですが、私の場合は主に脳卒中の後遺症で話すことや食べることが困難になった患者様を対象にしています。主として回復期の患者様が対象であり、自立した日常生活が目標となります。もちろん、多くの場合、食べる・話すといった機能が完全に回復するわけではないので、携帯アプリを使って意思を伝えるような、代わりとなる方法を訓練に取り入れることもあります。理学療法・作業療法などのリハビリテーションに比べて新しい分野なので、過去の事例を踏まえて自分たちで試行錯誤しながら訓練方法を考えたりもしています。

Q2.どんな訓練方法があるか教えてください。

 言語聴覚の訓練は動きが少ないので疲れにくいと思われがちですが、患者様からすると、「頭を使って考える」そして「行動する」という流れになるので気持ち的には理学療法や作業療法よりも疲れるようです。だから「やりたくない」という気持ちにもなりやすいのです。自立していただくことが目標なので訓練は行いますが、いろいろな工夫もしています。実際に取り組んだ事例としては、集中力を高めることを目標にゲーム機を使って、患者様の好きなテニスのゲームをしたことがあります。ほかの訓練にも集中力は活かせますし、ゲームなら自宅に帰ってからでも継続して取り組んでいただけます。入院中は私たちがそばにいるので無理にでも訓練ができますが、帰宅してからも自主的に訓練を継続していただく必要があるのでこのような工夫をしています。

Q3.患者様の回復は、どうやって判断していますか?

 どのリハビリテーションでも難しいのが「評価」だと思います。基本的に私たちが実施する検査は「点数」によって評価されるものが多く、その点数で機能の向上や低下を判断します。検査の時にたまたま出来ただけということも考えられますので、いろいろな検査をしています。しかし、一番大切なことは「会話した時の様子」や「普段の過ごし方」からも判断していくことです。健康な人でも得手・不得手があるように、患者様にも簡単にできることとなかなかできないことがあります。いろいろな視点から観察し、そこから得られる情報が多いほど判断も容易になります。だからこそ、患者様に寄り添っていかなければならないと感じています。

Q4.患者様とのエピソードで印象的なことはありますか?

 大変だったこととしては、自分が健常だと思っておられる方が入院されたことです。障害を持ったことを認めたくない気持ちが強いので、話を聞いてくださらないのです。ついには怒り出して訓練どころではなくなります。ですから、訓練・訓練というのではなく、ご近所同士で話をするような感じで距離を詰めていきます。基本的には、皆さん話を聞いて欲しいと思っておられるようです。
嬉しかったこととしては、入院された時は話すことも食事をすることも難しかった患者様が、訓練を終えて退院する3日前に手紙を書いてくださったことです。「ありがとう」と言って手紙を渡されると、大変だったことも吹き飛んでしまいました(笑)

Q5.リハビリテーションで大切なことは何だと思いますか?

 近年よく言われていますが「チーム医療」です。特に理学療法士・作業療法士とは密接に連携していく必要があります。人間の行動は一つの動作だけで成立していません。「食べる」ことを例にとっても、まずは椅子などに座ります。この姿勢を保つためには理学療法の訓練が必要です。箸やスプーンを持つ動作もあり、それを上手に動かし食べ物を落とさないように口まで運んでくることも必要です。これらの動作は作業療法の領域になります。出来ること、出来ないことを把握して適切な訓練をしなければよい結果は出ません。逆に、私たち言語聴覚士から話しかけ方や伝え方をアドバイスすることもあります。連携を密にするために、月に1回は担当者が集まってカンファレンスも行います。新しい発見があれば、その日のうちにメールなどで情報共有することも日常的に行われています。

Q6.そもそもリハビリテーションに興味を持ったきっかけは何ですか?

 高校卒業後スポーツ系の専門学校で学び、そして就職しました。でも何か物足りなく感じ始めて、もう一度進むべき道を考えたとき、知り合いの方が「リハビリテーションカレッジ島根」のことを教えてくださいました。ここなら国家資格が取得できるし、リハビリテーションはこれからますます必要になる分野だと聞き、オープンキャンパスに参加してみました。その時、聞き慣れない「言語聴覚士」という職種を知りました。リハビリテーションのなかでも新しい分野を学んでみたいと思ったのが言語聴覚士をめざしたきっかけです。

Q7.「リハビリテーションカレッジ島根」での4年間で得たことは何ですか?

 私は人見知りな性格で、積極的に人と話すのは苦手なほうでした。もちろん、今では患者様や同僚と話すことに苦手意識はありません。学校の先生が気さくな方ばかりで、すぐに相談に乗ってくださいますし、実習などでうまくいかずに落ち込んでいた時などはさりげなく励ましてくださいます。「リハビリテーションカレッジ島根」でのいろいろな経験を通じて変わっていけました。本当に感謝しています。入院してこられる患者様一人ひとりに柔軟に対応できるのも、学生時代にこうした経験ができたからだと思います。

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